お知らせ
腎臓病の食事とは
2019.5.27
腎臓病といわれたら・・・?
今回は、腎臓病の食事療法についてのお話です。以下の4つの項目に分けて説明します。
① 腎臓のステージ別にみた栄養基準
ステージ |
エネルギー (kcal/日) |
たんぱく質 (g/日) |
食塩 (g/日) |
カリウム (mg/日) |
ステージ1 |
25~35※2×標準体重※1 |
過剰な摂取をしない |
3g以上6g未満 |
制限なし |
ステージ2 |
過剰な摂取をしない |
|||
ステージ3a |
0.8~1.0×標準体重※1 |
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ステージ3b |
0.6~0.8×標準体重※1 |
2000mg以下 |
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ステージ4 |
1500mg以下 |
|||
ステージ5 |
1500mg以下 |
※慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版, 日本腎臓学会より引用
※1 標準体重 もっとも病気にかかりにくいとされている体重のこと。
計算方法:身長(m)×身長(m)×22=標準体重
例)身長160cmの方の場合:1.6×1.6×22=56.3kg
※2 25~35 活動量や体格によって選びましょう。
25・・・日常の活動量が少ない人、標準体重よりも体重が多い人、高齢者
30・・・ふつう程度の活動量の人(立ち仕事の多い仕事など)
35・・・肉体労働が多い仕事をしている人など
② たんぱく質を抑えて腎臓の負担を減らす。
―なぜ、たんぱく質を制限するの?―
お食事からたんぱく質を摂ると体内では老廃物が作られます。その老廃物の処理をしているのが腎臓です。そのため、老廃物が作られるほど腎臓の負担になっていくのです。たんぱく質を減らすことは、腎臓の負担を減らしてあげることに繋がります。
―減らせば減らすほど良い?-
たんぱく質はとても重要な栄養素ですので、必要以上に減らしてしまうと栄養不足を招きます。そうすると、せっかく食事療法を行っても腎機能を悪化させてしまうことがあります。大切な役割のある栄養素を減らすわけですから、減らした分のエネルギーを「脂質」と「糖質」で補うことが大切です。たんぱく質以外からしっかりとエネルギーを摂ることで、腎機能の低下を防ぎ、栄養不足を防ぎます。手軽にエネルギー補給ができる「治療用特殊食品」を利用するのも良いでしょう。
③ 塩分制限
―高血圧予防のためだけではない?腎臓病の塩分制限―
「高血圧」と「塩分の摂り過ぎ」についてはよく知られています。では、腎臓病の場合はどうでしょうか。
通常、食事から摂った余分な塩分は、尿と一緒に身体の外へ出て行きます。その働きをしているのが腎臓ですので、腎機能が低下すると、余分な塩分と尿の排泄がうまくできなくなり、身体の血液量が増え身体に溜まります。そうすると、本来排泄されるはずのものが溜まっていきますので体は浮腫み(体液量が増え)、高血圧を引き起こします。さらに進行すると心臓の負担になったり呼吸が苦しくなったりと、様々な症状が出てきます。腎臓病での塩分制限は、身体の水分(体液)を調整するために大切です。
―少なすぎてもダメ!塩分制限―
塩分制限の目標は、1日3g以上6g未満です。
味噌汁を1日1回に減らしたり、麺類の汁を残すなど日常生活ですぐに始められる「できること」から始めましょう。継続する事が大切です。
④ カリウム制限
1番初めの項目に記載してありますが、カリウムはステージ3bの方で2000mg以下、ステージ4以降では1500㎎以下に制限をします。
―たんぱく質制限を守りましょうー
たんぱく質源となる食品にはカリウムが多く含まれています。その為、きちんとたんぱく質制限が出来ていれば同時にカリウムを減らすことができるのです。
―野菜は1日300g―
たんぱく質制限をきっちり行っていても、野菜や果物を食べ過ぎるとカリウムは身体に溜まっていきます。緑黄色野菜100g 淡色野菜200gを目安にしましょう。調理の際に、切った野菜を水にさらしたり茹でこぼすことでカリウムを減らすことが出来ます。
―食材のカリウム量を知りましょう―
この表に載っている食材はごく一部です。ご自分がよく食べる食材のカリウム量はどのくらい含まれているでしょうか?是非、調べてみましょう。
100g当たりのカリウム量(mg)
じゃがいも 410mg |
トマト 210mg |
ぶなしめじ380mg |
メロン 340mg |
さつまいも 380mg |
トマトジュース260mg |
しいたけ 280mg |
バナナ 360mg |
かぼちゃ 450mg |
モロヘイヤ 530mg |
えのきだけ340mg |
もも 180mg |
とうもろこし290mg |
アボカド 720mg |
まいたけ 230mg |
柿 170mg |
おから 350mg |
水菜 480mg |
キウイ 290mg |
オレンジ 180mg |
落花生 290mg |
ほうれん草 690mg |
スイカ 120mg |
コーヒー 65mg |
枝豆(茹) 490mg |
ブロッコリー(茹)180mg |
プルーン 220mg |
紅茶 8mg |
※コーヒー、紅茶は滲出液100gの含有量です。